初日-養老渓谷-
日本一周への記念すべき初日、前々から気になっていた養老渓谷へと脚を運んだ。
枯れ果てた木々の先が揺れる山道を越えると、そこには鮮麗な木々と岩場の中、美しい水が悠揚と流れ落ちていたーー
ーー時は遡り、お天道様がこれからだと言わんばかりにその日を照らし始めるpm12:30,宮原は柏にいた。午前中は都内に用事があったため朝から動けずにいたが、全ての用事を済ませた今、遂に例の計画が始まる。
そう、日本一周旅行の計画だ。
半年前から漠然と計画されていた日本一周の旅だが、いよいよその時が来たのだ。
目指すは養老渓谷。千葉房総半島のちょうど真ん中辺りに位置する自然豊かな場所だ。日本地質100選にも選定されている千葉県内有数の観光地でもある。
私が行った4月3日という時期は、渓谷が有するその美しさとは裏腹にそこに至るまでの道のりが蕭条としていて、とてもじゃないが養老渓谷そのものに不安を抱かざるを得なかった。
グーグル先生に導かれるまま車を走らせると、遂にグーグル先生が養老渓谷への入り口を示した。
そこには三角コーンが立ち並んでいた。
疑念を抱きながらも歩を進めていくとその先にはやたらと騒がしい幟と来訪者を迎え入れるように立つ一際輝く金色の観音様が小さな寺と共に私を迎え入れてくれた。
養老山立國寺というらしい。金色の観音様は出世観音といいなんでも『開運招福の観音様』として下界にその名を轟かせているらしい。
旅の初日になんて素晴らしい観音様と巡り会えたのだろうか。私は現代っ子なのでとりあえず記念にツーショットを撮らせていただいた。
どうやらこのアプリ、下界の者にしか反応しないらしい。
御縁があるように五円をーなんてベタなことではあるがー賽銭箱に投げ入れ、特に何もせず観音様とやはり騒がしい幟を後にする。
今回の目的は養老渓谷である。決して金色の観音様ではないのだ。
しかし、グーグル先生が示す養老渓谷はまさにここなのだが、どこを見渡しても渓谷などはない。
足早に寺を降り車に戻ってエンジンを掛け走り出す。
少しばかり走ると、養老渓谷の案内所が出てきた。
どうしたことか、案内所は機能していなかったが、代わりに巨大な掲示板が私に道を示してくれた。
私が目的としている場所はどうやらもう少し山の奥に入ったところらしい。
再び車を走らせること5分ほど、養老渓谷滝巡りコースの案内板が見えてきた。
近くの有料駐車場に車を止め、案内板に従い足早に滝を目指す。
どうしたことか、眼に映るのは田んぼと民家と散歩をするおじさんばかりだがこの先に渓谷と滝があるらしい。
しばらく歩を進めたところで、このような掲示板がでてきた。
幻の滝。
少し弱そうだ。
いや。滝に強いも弱いもない、とにかく脚を動かすと一つ目滝、幻の滝の入り口が見えてきた。
どうやらこの幻の滝、10年程度前(現在2019/04/04)に地元の老夫婦が見つけた滝らしく、それまで誰しもがこの存在に気づけずにいたという滝でそれ故にこのような名前を付けられたらしい。
整備も間に合っていないらしく拝観料に200円が必要だが、特に気にすることなく滝を目指す。
入り口を潜ると、水面を打つ音がその空間に響いているのがわかった。
かっこいい。
美しい木々に囲まれた中、頼りなくも見えるが芯を持って流れ落ちるその滝は、自然の強さを語るようであった。
余談だが私の遥か下にいる滝ガールもまた美しかった。
滝を目の前で見ようと足場を降るがこれがまた危ない。高さのある階段でありながら充分な整備が施されていないため、危なげに降りることになったが、降りた先にはそれまでの危なさなどどうにでも良くなるような、先ほどとはまた一つ違う滝の姿があった。
先ほどとはまた別の良さがある。
もちろん、光の差し方はあるのだろうがそれにしたって美しい。
悠揚と流れ落ちるその姿にまた一つ胸を踊らせる。
多くを語ることはできないが是非一度足を運んで欲しいと思える景観であった。
その後はメインとなる養老渓谷を歩く。、
こちらもまた美しさはあるが、少しばかり長く飽きが来ると思われるが、都心の喧騒から逃れ、忙しい日常を忘れたいななんて思っているそこのあなたにはぴったりの観光スポットかもしれない。
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